MESA Engineering BARON 修理記録
平成21年6月20日持込  7月28日完成
A. 修理前の状況
  • 数ヶ月前よりL側の真空管のバイアス値が上がらない症状が発生。
    R側の真空管と入れ替えるとR側も同じ症状が出た為球の寿命と判断。 5881球の予備が1本手元にあったので取扱説明書を参考に一番赤く光っていると思われた球を試しに交換。バイアス値はなんとか正常値に近いレベルにまで上がるようになりました。
    但し、交換したした球がひときわ赤く明るく光っているのが気にはなっていました。 本機はL・R独立電源でスイッチも別にあり普段は動作電圧の半分が掛かる状態のWARMにしていました。
    いつものようにCDを聴こうとL側、R側と順番にWARMからOPERATEへスイッチを切り替えました。 L側は正常に作動しましたが、R側を切り替えた瞬間真空管の上部内で青いアークが走り凄まじいノイズとともに本体内部より煙と異臭が発生し電源が落ちました。 ヒューズを見ると切れていました。
    説明書をみて真空管の短絡かなと思い、正常に作動しているL側の真空管、ヒューズを入れ替え再度試す。 全く同じ状態を再現。 素早くスイッチを戻したためヒューズだけは無事でした。 裏蓋を外すも異常は分からず、エアダスターで埃を飛ばし蓋を閉めそのままです。 過去において修理歴はありません。
  • 注.
    真空管のバイアス値が上がらない症状が発生→真空管の寿命です.

    赤く光っていると思われた球→プレートが赤熱した球は、オーディオでは使用出来ません
    .
B. 原因
  • 真空管寿命。No3の STR425 「5881=6L6」がプレート短絡(アーク放電)。

CA. TubeTester HickokTV−2B/Uによる付属真空管測定

CB. TubeTester HickokTV−2B/Uによる新品購入真空管測定

AE. バラック修理後の新品購入真空管による測定

C. 修理状況
  • 基板修理。
  • 左電源トランスの凹み打ち出し。

D. 使用部品
  • 電解コンデンサー(オーディオコンデンサー使用)          4個。
    抵抗                                      8個 。

E. 調整・測定


F. 修理費          50,000円  通常修理。
                            但し、真空管は別途です。

G. MESA Engineering BARON 仕様

A. 点検中
A11. 点検中 前から見る
A12. 点検中 前左から見る
A13. 点検中 左から見る
A14. 点検中 後から見る
A141. 点検中 後から接続端子郡を見る
A142. 点検中 終段真空管の動作モードSW見る
A15. 点検中 後右から見る
A16. 点検中 右から見る
A21. 点検中 上から見る
A211. 点検中 上から見る。 左電源トランスの凹み、多分打ち出し出来る?
A22. 点検中 下から見る
A23. 点検中 下蓋上の電解コンデンサーの跡?
A31. 点検中 下前から見る
A32. 点検中 下前右から見る
A33. 点検中 下後から見る
A34. 点検中 下後左から見る
A4. 点検中 下蓋を取り、下から見る。
A5. 点検中 焼けた抵抗
A61. 点検中 No3 STR425 「5881=6L6」。 プレート短絡(アーク放電)。
               管壁の黒ずんだ所は、プレートが赤熱時放出した部質が蒸着した物。
A62. 点検中 No3 STR425 「5881=6L6」。 プレート短絡(アーク放電)。
               管壁の黒ずんだ所は、プレートが赤熱時放出した部質が蒸着した物。
C.修理状況
C11. 修理前 R側−AMP基板
C12. 修理後 R側−AMP基板
C21. 修理前 L側−AMP基板
C22. 修理後 L側−AMP基板
C31. 修理前 電源基板
C32. 修理後 電源基板
C41. 修理前 左電源トランスの凹み。
C42. 修理後 左電源トランスの凹み。
C51. 修理中 左電源トランスの防振テープ。
C52. 修理中 左電源トランスの防振テープを補強する。 音の大きさからして、カットコアのバンドの当たりの音では?
C6. 交換部品
C81. 修理前 下から見る
C82. 修理後 下から見る
E. 調整・測定
E1. 出力・歪み率測定・調整
    <見方>
   下段左端 オーディオ発振器より400HZ・1KHZの信号を出し(歪み率=約0.003%)これをAMPに入力し、出力を測定
   下段中左 オシロ=入力波形(オーディオ発振器のTTLレベル)   下段中右上=周波数計
   上段左端 電圧計=L側出力電圧測定、黒針のみ使用
   上段中左 歪み率計=出力の歪み率測定 左メータ=L出力、右メータ=R出力
   上段中右 電圧計=R側出力電圧測定、赤針のみ使用
   上段右端 オシロ=出力波形 上=R出力、下=L出力(実際にはRL電圧計の出力「Max1V」を観測)
   下段中右上 デジタル電圧計=R出力電圧測定 下段中右下 デジタル電圧計=L出力電圧測定
E21. R側SP出力電圧35V=153W出力 1.6%歪み 1000HZ
E22. L側SP出力電圧35V=153W出力 1.2%歪み 1000HZ
E31. R側SP出力電圧35V=153W出力 2.6%歪み 400HZ
E32. R側SP出力電圧35V=153W出力 1.3%歪み 400HZ
E41. その時のVUメータ、SP出力電圧35V=153W出力
E42. SP出力15W時のVUメータ。
E5. 完成、24時間エージング。 左は「MusicRefarence RM−9. 5.5年後の再修理
CA. TubeTester HickokTV−2B/Uによる付属真空管測定
CA1. 付属出力真空管STR425 「5881=6L6」。
     真空管ハンドブック(規格表)の値。
       相互コンダクタンス=6000μmho「Ep=250V、Ip=72mA,Esg=250V、eg1=−14V」(1960/1962ナショナル真空管ハンドブックより)
       相互コンダクタンス=6000μmho「Ep=250V、Ip=79mA,Esg=250V、eg1=−14V」(RC−26、RC−30 Receiving Tube Manualより)、(インプレス オーディオ用真空管マニアルより)
         STR425 「5881=6L6」。 左から予備球.1本目.2本目.4本目..6本目。
               管壁の黒ずんだ所は、プレートが赤熱時放出した部質が蒸着した物。
CA2. 付属出力真空管STR425 「5881=6L6」。 左から7本目.....12本目。
CA3. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」。 左から予備球.1本目.2本目.4本目..6本目。
               管壁の黒ずんだ所は、プレートが赤熱時放出した部質が蒸着した物。
CA4. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」。 左から7本目.....12本目。
CA51. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」予備球。  Gm=5600μ、Ip=47.6mA。
                          Bレンジ=15000μmhoレンジ、「Ep=230V、Eg2=225V、Eg1=−14V」
CA52. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」1本目。  Gm=1900μ、Ip=42.5mA。
                         Cレンジ=3000μmhoレンジ、「Ep=230V、Eg2=225V、Eg1=−14V」
CA53. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」2本目。  Gm=2060μ、Ip=19.6mA。
CA54. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」4本目。  Gm=1900μ、Ip=18.7mA。
CA55. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」5本目。  Gm=740μ、Ip=8.3mA。
CA56. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」6本目。  Gm=1900μ、Ip=18.6mA。
CA57. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」7本目。  Gm=1700μ、Ip=17.5mA。
                         Cレンジ=3000μmhoレンジ、「Ep=230V、Eg2=225V、Eg1=−14V」
CA58. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」8本目。  Gm=1240μ、Ip=14.8mA。
CA59. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」9本目。  Gm=1700μ、Ip=16.6mA。
CA510. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」10本目。  Gm=1300μ、Ip=10.4mA。
CA511. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」11本目。  Gm=1560μ、Ip=17.3mA。
CA512. 付属出力真空管 STR425 「5881=6L6」12本目。  Gm=1500μ、Ip=17.3mA。
CA10. 付属。 MESA STR 12AX7−A。
      真空管ハンドブック(規格表)の値。
        Dレンジ=1500μmhoレンジでの測定、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
        相互コンダクタンス=1600μmho「Ep=250V、Eg1=−2V」(1960/1962ナショナル真空管ハンドブックより)、(インプレス オーディオ用真空管マニアルより)、(RC−26、RC−30 Receiving Tube Manualより)
        MESA STR 12AX7−A。 左から1本目..4本目。
CA11. MESA STR 12AX7−A. 1本目ユニット1測定。 Gm=750μmho、IP=0.7mA。
                       Dレンジ=1500μmhoレンジ、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
CA12. MESA STR 12AX7−A. 1本目ユニット2測定。 Gm=500μmho、IP=0.5mA。
CA21. MESA STR 12AX7−A. 2本目ユニット1測定。 Gm=900μmho、IP=0.8mA。
                       Dレンジ=1500μmhoレンジ、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
CA22. MESA STR 12AX7−A. 2本目ユニット2測定。 Gm=770μmho、IP=0.6mA。
CA31. MESA STR 12AX7−A. 3本目ユニット1測定。 Gm=500μmho、IP=0.4mA。
                       Dレンジ=1500μmhoレンジ、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
CA32. MESA STR 12AX7−A. 3本目ユニット2測定。 Gm=450μmho、IP=0.4mA。
CA41. MESA STR 12AX7−A. 4本目ユニット1測定。 Gm=930μmho、IP=0.8mA。
                       Dレンジ=1500μmhoレンジ、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
CA42. MESA STR 12AX7−A. 4本目ユニット2測定。 Gm=740μmho、IP=0.6mA。
CB. TubeTester HickokTV−2B/Uによる新品購入真空管測定
CB1. 新品購入出力真空管SOVTEC 「5881=6L6WGC」。
       真空管ハンドブック(規格表)の値。
       相互コンダクタンス=6000μmho「Ep=250V、Ip=72mA,Esg=250V、eg1=−14V」(1960/1962ナショナル真空管ハンドブックより)
       相互コンダクタンス=6000μmho「Ep=250V、Ip=79mA,Esg=250V、eg1=−14V」(RC−26、RC−30 Receiving Tube Manualより)、(インプレス オーディオ用真空管マニアルより)
         SOVTEC 「5881=6L6WGC」。 左から1本目....6本目。
CB2. 新品購入出力真空管SOVTEC 「5881=6L6WGC」。 左から7本目....12本目。
CB3. 新品購入出力真空管SOVTEC 「5881=6L6WGC」。 左上から1本目....6本目。
CB4. 新品購入出力真空管SOVTEC 「5881=6L6WGC」。 左上から7本目....12本目。
CB51. SOVTEC 「5881=6L6WGC」1本目。  Gm=5700μ、Ip=50.2mA。
                                  「Ep=230V、Eg2=225V、Eg1=−14V」
CB52. SOVTEC 「5881=6L6WGC」2本目。  Gm=5700μ、Ip=49.2mA。
CB53. SOVTEC 「5881=6L6WGC」3本目。  Gm=5700μ、Ip=48.7mA。
CB54. SOVTEC 「5881=6L6WGC」4本目。  Gm=4500μ、Ip=41.9mA。
CB55. SOVTEC 「5881=6L6WGC」5本目。  Gm=5700μ、Ip=47.4mA。
CB56. SOVTEC 「5881=6L6WGC」6本目。  Gm=5500μ、Ip=46.6mA。
CB57. SOVTEC 「5881=6L6WGC」7本目。  Gm=5500μ、Ip=47.7mA。
                                  「Ep=230V、Eg2=225V、Eg1=−14V」
CB58. SOVTEC 「5881=6L6WGC」8本目。  Gm=5700μ、Ip=49.6mA。
CB59. SOVTEC 「5881=6L6WGC」9本目。  Gm=5700μ、Ip=49.4mA。
CB510. SOVTEC 「5881=6L6WGC」10本目。  Gm=5500μ、Ip=47.5mA。
CB511. SOVTEC 「5881=6L6WGC」11本目。  Gm=5800μ、Ip=48.6mA。
CB512. SOVTEC 「5881=6L6WGC」12本目。  Gm=5500μ、Ip=48.9mA。
CB10. SOVTEC 12AX7LP。
        Cレンジ=3000μmhoレンジでの測定、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
       真空管ハンドブック(規格表)の値。
        相互コンダクタンス=1600μmho「Ep=250V、Eg1=−2V」(1960/1962ナショナル真空管ハンドブックより)、(インプレス オーディオ用真空管マニアルより)、(RC−26,RC−30 Receiving Tube Manualより)
        SOVTEC 12AX7LP。 左から1本目..4本目。
CB1A. SOVTEC 12AX7LP。 左上から1本目..4本目。
CB1B. SOVTEC 12AX7LP。 左から1本目..4本目。
CB11. SOVTEC 12AX7LP、1本目ユニット1測定。 Gm=2400μmho、IP=1.6mA。
                       Cレンジ=3000μmhoレンジ、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
CB12. SOVTEC 12AX7LP、1本目ユニット2測定。 Gm=2140μmho、IP=1.4mA。
CB21. SOVTEC 12AX7LP、2本目ユニット1測定。 Gm=2340μmho、IP=1.6mA。
                       Cレンジ=3000μmhoレンジ、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
CB22. SOVTEC 12AX7LP、2本目ユニット2測定。 Gm=1860μmho、IP=1.2mA。
CB31. SOVTEC 12AX7LP、3本目ユニット1測定。 Gm=2100μmho、IP=1.4mA。
                       Cレンジ=3000μmhoレンジ、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
CB32. SOVTEC 12AX7LP、3本目ユニット2測定。 Gm=2040μmho、IP=1.3mA。
CB41. SOVTEC 12AX7LP、4本目ユニット1測定。 Gm=2250μmho、IP=1.5mA。
                       Cレンジ=3000μmhoレンジ、「Ep=225V、Eg1=−2V」。
CB42. SOVTEC 12AX7LP、4本目ユニット2測定。 Gm=2100μmho、IP=1.4mA。
AE. バラック修理後の新品購入真空管による測定
AE1. 出力・歪み率測定
    <見方>
   下段左端 オーディオ発振器より400HZ・1KHZの信号を出し(歪み率=約0.003%)これをAMPに入力し、出力を測定
   下段中左 オシロ=入力波形(オーディオ発振器のTTLレベル)   下段中右上=周波数計
   上段左端 電圧計=L側出力電圧測定、黒針のみ使用
   上段中左 歪み率計=出力の歪み率測定 左メータ=L出力、右メータ=R出力
   上段中右 電圧計=R側出力電圧測定、赤針のみ使用
   上段右端 オシロ=出力波形 上=R出力、下=L出力(実際にはRL電圧計の出力「Max1V」を観測)
   下段中右上 デジタル電圧計=R出力電圧測定 下段中右下 デジタル電圧計=L出力電圧測定
E21. R側SP出力電圧27V=91W出力 3%歪み(10%レンジ) 1000HZ。 full Pentode。
E22. R側SP出力電圧27V=91W出力 3%歪み(10%レンジ) 400HZ
E31. L側SP出力電圧27V=91W出力 2.5%歪み(10%レンジ) 1000HZ。 full Pentode。
E32. L側SP出力電圧27V=91W出力 2.5%歪み(10%レンジ) 400HZ
E41. その時のVUメータR側、SP出力電圧91W
E42. その時のVUメータR側、SP出力電圧91W
E51. BAIAS。 フルパワーの測定なのでB級に近く深めに設定。
E52. BALANCE
G. MESA Engineering BARON 仕様
  input impedance =60K or 110K
  OUTPOWER
  • all Triode=55W/Ch
  • 2/3 Triode + 1/3 Pentode=85 W/Ch
  • 2/3 Pentode + 1/3 Triode=120 W/Ch
  • full Pentode=150 W/Ch
 
stereophile」より転載
Fig.7 Mesa Baron, pentode mode, 4 ohm tap, Stage III feedback, distortion (%) vs output power into (from bottom to top at 10W): 8 ohms, 4 ohms, and 2 ohms.
                      baron-2s
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