DENON POA−8000. 4台目修理記録
  同時修理POA−8000. 3台目、  PRA−6000         2020/4/14到着    2021/3/10完成
A. 修理前の状況
  • 私のオーディオ歴は、小学3・4年頃に親戚の家にあったパイ オニアのシステムコンポに興味を持った頃に始まりました。
    当時は、当然親にも買ってもらえず、電気屋さんにあったカタログ集め眺めたり、店頭のデモ機器の視聴に始まっております。
    家にも パイオニアの4CHステレオはありましたが、触らせてくれませ んでした。
    小学3・4年の当時、良くなかったと思いますが、親から新聞配達でお金を貯めてから購入してはと提案があり、小学生ながら新聞配達を始めましたが、部数も多くはなく月額10,000円にも満たないバイト代をコツコツと貯め始めました。
     時は過ぎ、中学生になり、地元の電気屋さんにレコードを見に立ち入った際、店の奥から流れている良い音に引き寄せられ奥に進むと、お高そうなオーディオ製品がずらりと並べてありました。
    鳴っていたのは、当時のDENONのフラグシップモデルである DP-100、DH-710、PRA-6000、POA-8000、SC-5000などがずらりと並んでおり、これまで聞いた音楽と違うそのすさまじい音 色に驚愕したと記憶しております。
     以後、その店に幾度と通い、いろいろ話していると1年先輩の複数人が、バイトしてローン会社から融資を受けるために親などに保証人をお願いし、中学生ながらPRA-6000、POA-8000、 SC-5000の機器を購入していることを聞き、私も親に頼みましたが、さすがにフラグシップモデルの購入は認めてもらえず、PMA-970、SC-A7などを購入し、自分の部屋で自分のシステムで好きな音楽を聴けて大変満足していたと記憶しております。
     その後、システム変更を行い現在に至っております。
     今から10年近く前ですが、その地元電気屋さん足を運んだ際 に、メーカーで部品調達が困難(コンデンサーの不良と記憶しております。)で修理不可のPRA-6000、POA-8000が置いてあり、当時の自分の思いを伝えるとディスプレイ用にと譲ってもらい、電源を入れることなく時が過ぎたところであります。
     昨年末から今年の2月中旬にかけオーディオルームと機器の大掃除をした際に、PRA-6000、POA-8000外見の掃除をした際に たまたま電源を入れたところ、電源が入り、恐る恐るCD、安価 なSP接続したところ、音も鳴ることを初めて知った次第であり ます。
     コンデンサー類に経年劣化はあると思いますが、プリは、ボ リュームにガリがあったものの問題ないようですが、パワーは、残念ながら、片方が時間経過し発熱するとエラー1〜7でプロ テクターが働き、復旧を繰り返すようです。(エラーが出るパ ワーから、たまに、レコードのようなパチッとノイズが出るこ とがあります。
    プリかとも考えましたが、パワーのVUメーターに反応がないので、パワーではないかと思います。)
     一度聞いてしまうともっと長く聞いてみたくなり、何とかな らないかと考えておりましたところ、この度、ネットで貴社のHPで修理実績があることを拝見し、連絡させていただいたとこ ろでございます。
     ヤフオクでの中古動作品の購入も検討しておりましが、ビン テージ物で、出品極僅かで動作保証もありませんので、貴社での修理が可能であれば一番確実かと思っておりますが、部品調達が可能か否か、修理費がどれくらいなのかにもよりますし、本 来、3台一緒にOH・修理が理想ですが、大学生2人分の学費、家 のローンも抱えており、自分で自由になるお金がないので、と りあえず修理が必要なPOA-8000の1台分からでも復旧できれば と考えております。
     見てみないとわからないと思いますが、3台分それぞれの修理 費のおよその目安を教えていただき、嫁と相談・検討したいと考 えております。


T. 修理前点検測定

B. 原因
  • 各部経年劣化多し。
    歪みが多い。

C. 修理状況
D. 使用部品
  • SP接続リレー                          3個。
    電源投入リレー                         1個。
    バイアス/バランス半固定VR                8個。
    電解コンデンサー                       61個 。
    フイルムコンデンサー                       4個。
    OP−AMPP                           6個。
    3PインレットFURUTECH FI-10(R) ロジウムメッキ  1個。
    入力RCA端子WBT−0201               1組3台目と半分分。
    VUメーター照明3素子LED                    12個。
    ヒューズ入抵抗                        28本。
    トランジスター                          4個。


E. 調整・測定


F. 修理費    113,500円。   オ−バ−ホ−ル修理。

Y. ユーザー宅の設置状況

S. DENON POA−8000 の仕様(カタログ・マニアルより)

A. 修理前の状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 点検中 前から見る
A12. 点検中 前右から見る
A13. 点検中 後から見る
A14. 点検中 後左から見る
A15. 点検中 上から見る
A16. 点検中 上・下蓋、前パネルを取り、上から見る。
A17. 点検中 電源ブロック電解コンデンサーの頭のビニールの膨らみ無。
A21. 点検中 下前から見る
A22. 点検中 下前左から見る
A23. 点検中 下後から見る
A24. 点検中 下後右から見る
A25. 点検中 下から見る
A26. 点検中 上・下蓋、前パネルを取り、下から見る。
A27. 点検中 電源基板。
A31. 点検中 上・下蓋、前パネルを取り、横から見る。
A32. 点検中 歪打消AMP基板。
A41. 点検中 後パネルを外し、ドライブAMP基板。
A51. 点検中 電源コード取り付け。 
A52. 点検中 電源コード取り、3Pインレットに交換可能。使用する3Pインレットは FURUTECH FI-10(R) ロジウムメッキ。
A61. 点検中 SP接続端子。
A62. 点検中 SP接続端子。取り付け穴が大きいので、WBT−0705Ag WBT−0705Cu以外交換不可。下記は1組4個使用。
A71. 点検中 入力RCA端子。
A72. 点検中 入力RCA端子。 WBT−0201は定価で工賃込み。
A81. 点検中 電源投入リレー&SP接続リレー比較。
           右=付いていた接点容量7Aのリレー、8Ω出力だと392W定格
           左=交換する接点容量10Aのリレー、8Ω出力だと800W定格
A91. 点検中 交換するFET(電界効果トランジスター)の選別測定。 
AA1. 点検中 電解コンデンサー比較。 左=付いていた100μ/160V、 右=交換する330μ/160V。
AA2. 点検中 電解コンデンサー比較。 左=付いていた470μ/160V、 右=交換する1000μ/160V。
AB1. 点検中 +側終段TR(トランジスター)。
AB2. 点検中 −側終段TR(トランジスター)。
T. 測定・調整。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
T0. 出力・歪み率測定・調整。状態が良くないのでフルパワーテスト出来ず
    「見方」。
   中..SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
      表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   右..VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   左..オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
      よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
T1. 1kHz入力、 SP出力電圧32V=128W出力、 0.980%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
T2. 10kHz入力、SP出力電圧34V=144.5W出力、 0.859%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
C. 修理状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C11. 修理前 +側終段AMPブロック。
C12. 修理後 +側終段AMPブロック。
C13. 修理前 +側終段AMP基板。
C14. 修理後 +側終段AMP基板。 半固定VR1個、電解コンデンサー1個、ヒューズ抵抗14本交換。
C15. 修理前 +側終段AMP基板裏。 
C16. 修理(半田補正)後 +側終段AMP基板裏。 半田を全部やり直す。
C17. 完成+側終段AMP基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
C18. 修理前 −側終段AMPブロック。
C19. 修理後 −側終段AMPブロック。
C1A. 修理前 −側終段AMP基板。
C1B. 修理後 −側終段AMP基板。 電解コンデンサー1個、ヒューズ抵抗14本交換。
C1C. 修理前 −側終段AMP基板裏。 
C1D. 修理(半田補正)後 −側終段AMP基板裏。 半田を全部やり直す。
C1E. 完成−側終段AMP基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
C1F. 修理中 +−側終段AMP基板。 電解コンデンサー固定するトルエン溶媒の接着剤。
C1G. 修理中 +−側終段AMP基板。 ジャンパー線、電解コンデンサーの足が腐食している。
C1H. 修理中 +−側終段AMP基板。。  トルエン溶媒の接着剤を取り去り、コートを塗布後。
C21. 修理前 ドライブAMP基板。
C22. 修理中 ドライブAMP基板。シールドを取る。
C23. 修理後 ドライブAMP基板。
           半固定VR3個、電解コンデンサー個21、OP−AMP6個交換。
C24. 修理前 ドライブAMP基板裏。
C25. 修理(半田補正)後 ドライブAMP基板裏。 半田を全部やり直す。
C26. 完成ドライブAMP基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
C31. 修理前 歪打消AMP基板。
C32. 修理後 歪打消AMP基板。 リレー1個、半固定VR1個、電解コンデンサー10個交換
C33. 修理前 歪打消AMP基板裏。
C34. 修理(半田補正)後 歪打消AMP基板裏。 半田を全部やり直す。
C35. 完成歪打消AMP基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
C36. 修理中 歪打消AMP終段TR(トランジスター)。
C41. 修理前 電源基板。
C42. 修理後 電源基板。 リレー1個、電解コンデンサー10個交換。
C43. 修理前 電源基板裏。
C44. 修理(半田補正)後  電源基板裏。 半田を全部やり直す。
C45. 完成電源基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
C51. 修理前 メーター・プロテクト基板。
C52. 修理後 メーター・プロテクト基板。 半固定VR3個、電解コンデンサー18個交換。
C53. 修理前 メーター・プロテクト基板裏。
C54. 修理(半田補正)後  メーター・プロテクト基板裏。 半田を全部やり直す。
C55. 完成メーター・プロテクト基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
C61. 修理前 起動時左右ランプ表示基板。
C62. 修理前 起動時左右ランプ表示基板。 起動時のみ動作の為、表示ランプは綺麗。
C63. 修理前 起動時左右ランプ表示基板裏。
C64. 修理(半田補正)後 起動時左右ランプ表示基板裏。 半田を全部やり直す。
C65. 完成起動時左右ランプ表示基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
C71. 修理前 メーターランプ基板。
C72. 修理後 メーターランプ基板。 ランプ4個交換。
C73. 修理前 メーターランプ基板裏。
C74. 修理(半田補正)後 メーターランプ基板裏。 半田を全部やり直す。
C75. 完成メーターランプ基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
C81. 修理前 LED表示基板。
C82. 修理前 LED表示基板裏。
C83. 修理(半田補正)後 LED表示基板裏。 半田を全部やり直す。
C84. 完成LED表示基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
C91. 修理前 入力基板。
C92. 修理前 入力基板裏。
C93. 修理(半田補正)後 入力基板裏。 半田を全部やり直す。
C94. 完成入力基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
CA1. 修理前 SP接リレー基板。
CA2. 修理中 SP接リレー基板。 リレー2個交換。
CA3. 修理前 SP接リレー基板裏。
CA4. 修理(半田補正)後 SP接リレー基板裏。 半田を全部やり直す。
CA5. 完成SP接リレー基板裏。  洗浄後防湿材を塗る。
CB1. 修理前 電源ブロック電解コンデンサー下配線。
CB2. 修理後 電源ブロック電解コンデンサー下配線。 フイルムコンデンサー2個追加。
           フイルムコンデンサー取付ビスは塗装ビスからメッキビスに交換する。
CC1. 修理前 電源ケーブル挿入部。
CC2. 修理(加工)中 電源ケーブル挿入部、3Pインレット取り付け穴を開ける、ハンドツールなので時間がかかる。
CC3. 修理後 3Pインレット取り付け。  FURUTECH FI-10(R) ロジウムメッキ
CC4. 修理後 3Pインレット裏配線。 アースはしっかり取る。
CD1. 修理前 入力RCA端子。
CD2. 修理(交換)後 入力RCA端子郡。WBT−0201に交換。
CE1. 修理中 前パネル、2枚合わせガラス清掃。
CF1. 交換部品、3−4台共。
CF2. 交換部品、足黒OP−AMP。
CG1. 修理前 上から見る。
CG2. 修理後 上から見る。
CG3. 修理前 下から見る。
CG4. 修理後 下から見る。
CG5. 修理前 左横から見る。
CG6. 修理後 左横から見る。
CH1. 修理中 側板の止めビスのタップを立てる。
E. 測定・調整。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E0. 出力・歪み率測定・調整
    「見方」。
   中..SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
       表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   右..VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   左..オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
       よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E1. 50Hz入力、SP出力電圧40V=200W出力、 0.0043%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E2. 100Hz入力、SP出力電圧40V=200W出力、 0.0034%歪み。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E3. 500Hz入力、SP出力電圧40V=200W出力、 0.0033歪み。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E4. 1kHz入力、SP出力電圧40V=200W出力、 0.0167%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E5. 5kHz入力、SP出力電圧40V=200W出力、 0.00675%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E6. 10kHz入力、SP出力電圧40V=200W出力、 0.0058%歪み。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E7. 20kHz入力、SP出力電圧21V=55W出力、 0.0167%歪み。この当たりからフイルターで落ちる。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=125kHz、右=500kHz。
E8. その時のメーター表示。ピークLEDインジケーターも点灯開始。
E9. フルパワーなので、24V高速フアンが全回転でクーリング。
EA. 24時間エージング。 左は同時修理POA−8000. 3台目
S. DENON POA−8000 の仕様(マニアル・カタログより) 
型式 モノラルパワーアンプ POA−8000
ミュージック出力 320W(8Ω)
定格出力 200W(8Ω、正弦波連続、20Hz〜20kHz)
全高調波歪率 0.003%以下(8Ω、正弦波連続、20Hz〜20kHz)
混変調歪率 0.005%以下(60Hz:7kHz=4:1、定格出力時)
出力帯域幅(THD 0.01%) 5Hz〜100kHz
入力感度/入力インピーダンス 1V/50kΩ
出力インピーダンス(1kHz) 0.1Ω以下
SN比(IHF-A) 120dB以上
周波数特性(1W出力時) 1Hz〜200kHz +0dB -3dB
出力端子 2系統
サブソニックフィルター特性 16Hz、6dB/oct
スルーレイト ±380V/μsec
レベルメーター特性
指示方式 ピーク値指示方式レベルメーター
指示範囲 -50dB〜+5dB(0dB=200W/8Ω)
周波数特性 10Hz〜100kHz ±3dB
付属機能 定格出力ピークホールド表示
デジタルディスプレイ機能
ミューティング表示 初期値7→0へのカウントダウン
スピーカー表示 SP1、SP2
自己診断機能 メイン回路、歪除去回路、異常温度上昇時の動作診断
総合
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 330W(電気用品取締法)
160W(無信号時)
外形寸法 幅310x高さ188x奥行462mm(つまみ類、脚の高さを含む)
重量 22kg
標準価格 ¥350,000(1981年9月、昭和56年発売)
付属品 低容量接続コード1本、保証書
価格 250,000円、1984年2月
Y. ユーザー宅の設置状況
Y1. 設置状況
                      de8000-433
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