JBL SA600. 2台目修理記録
2024/12/21.到着    完成 
A. 修理前の状況
  • オーバーホール修理依頼。
    先日JBL SA600のことで電話をした者です。
    中学校からの友人が先日亡くなりました。
    ご遺族からオーディオの修理の相談を受け、アンプの修理先を探してそちらのホームページを見させていただき、可能性があると思い連絡させていただきました。
    友人とは趣味が似ていて長らく親しくしてきました。
    音楽、オーディオは特に他の友人たちとは交わせない話題で互いに刺激しあって楽しんできました。
    高校時代、確か無線と実験社だったと思いますが「世界の名機に挑戦する」という本を買っては回し読みをしていました。
    友人ははその時からSA600のファンでした。
    20年ほど前にアメリカに行く機会があった時運よく買い求めたのがこのアンプです。
    それ以来大事に使ってきていたようですが、壊れて棚の上の飾りになっていました。
    しかし思い入れは強く、捨てることはできないまま病を得て音がでない状態のままです。
    残されたご遺族も故人の思いをくんでぜひ修理したいと私に相談がありました。
    私は学生時代、秋葉原のオーディオ専門店で働いていて、そこそこのオーディオの経験と知識があります。
    知人のFIDELIXの中川さんに相談したところ、そちらがいいのではという助言をもらい連絡させていただきました。
    ご家族の話ではとりあえず電源スイッチの不良が故障の原因のようです。
    しかし古いアンプであり無事であるとは思えません。
    今回オーバーホールをお願いしたく、見積もりをしていただきたいと思います。
    時間と費用がかかることは伝えてあります。
    ちなみに友人のオーディオシステムは、CDプレーヤー・エソテリック、LPプレーヤー・マイクロ3000? サエクWE407 グレースG940 カートリッジD103他・スピーカー ウーファー・スコーカーTAD トゥイーターJBL075です。


B. 原因
  • 電源SW不動。
    左側メインアンプ故障。
    各部経年劣化多し。

P. 上下パネル、前後パネル、ビスの塗装
  • 錆や表示文字消えがあるので、これ以上進行させない為に、透明スプレーで押さえる。

C. 修理状況
D. 使用部品
  • バイアス半固定VR            2個。
    電解コンデンサー             42個 。
    電源ブロック電解コンデンサー     4個。
    フイルムコンデンサー          12個。
    アース端子               1個。
    メインVR(ラウドネス端子付)    1個。
    ゴム足                 4個。
    リレー                  1個。
    整流ブリッジ               1個。
E. 調整・測定

F. 修理費     150,000円   オーバーホール修理

S. JBL SA600 の仕様(カタログ・マニアルより)

A. 修理前の状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 点検中 前から見る
A12. 点検中 前右から見る
A13. 点検中 後から見る
A14. 点検中 後左から見る
A15. 点検中 上から見る
A21. 点検中 下から見る。止めビス2本欠落。
A22. 点検中 下前から見る
A23. 点検中 下前左から見る
A24. 点検中 下後から見る
A25. 点検中 下後右から見る
A31. 点検中 上蓋を取り、上から見る。埃が一杯、湿度の高い所にあったのか、トランスの鉄心が腐蝕。終段TR(トランジスター)、前段TR(トランジスター)腐蝕。
A41. 点検中 SP接続端子。
A42. 点検中 SP接続端子、 上の所に穴があり、下記2種類から選択できます。WBT−0735等も使用可能(定価で工賃込み)。
A51. 点検中 入出力RCA端子郡。
A52. 点検中 入出力RCA端子郡、 テフロン絶縁金メッキに交換可能。 WBT−0201 も選択可能組(定価で工賃込み)。      
A61. 点検中 電源プラグ。
A62. 点検中 電源プラグ、 場所が取れず交換不可。
A71. 点検中 電源コード。
A72. 点検中 プラグの結線。
A81. 点検中 上下SW郡。ベーク製止めの爪が欠損している。
A91. 点検中 電源SW。ベーク製止めの爪が欠損している。
AA1. 点検中 前パネル右側締結ビスが欠損。
AA2. 点検中 前パネル左側締結ビスが欠損。
C. 修理状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C1. 修理中 基板を取り除いたメインアンプ関係。
C11. 修理前 CH_A側アンプ基板
C12. 修理後 CH_A側アンプ基板 電解コンデンサー5個、半固定VR1個交換
C13. 修理前 CH_A側終段TR(トランジスター)、 上側なので放熱シリコンがカラカラ!
C14. 修理前 CH_A側アンプ基板裏
C15. 修理(半田補正)後 CH_A側アンプ基板裏 半田を全部やり直す。 普通はこれで完成。
C16. 完成CH_A側アンプ基板裏、  洗浄後防湿材を塗る。
C21. 修理前 CH_B側アンプ基板
C22. 修理後 CH_B側アンプ基板 電解コンデンサー個5個、半固定VR1個交換
C23. 修理前 CH_A側終段TR(トランジスター)
C24. 修理前 CH_B側アンプ基板裏
C25. 修理(半田補正)後 CH_B側アンプ基板裏 半田を全部やり直し。
C25. 完成CH_B側アンプ基板裏、  洗浄後防湿材を塗る。
C31. 修理前 プリアンプ基板。
C312. 修理前 プリアンプ基板、 端子周りが膨らんできた電解コンデンサー。この後液漏れする。
C32. 修理後 プリアンプ基板 電解コンデンサー個32個、フイルムコンデンサー8個交換。
C33. 修理前 プリアンプ基板裏。
C34. 修理(半田補正)後 プリアンプ基板裏。半田を全部やり直し。
C35. 完成プリアンプ基板裏、 洗浄後防湿材を塗る。
C41. 修理前 電源部。
C42. 修理後 電源部。 終段電源用 4700μ/63V×4個から10000μ/71V×2個に交換。
C43. 修理前 電源部裏。
C44. 修理後 電源部裏。 整流ダイオードを整流ブリッジに交換する。
C51. 修理前 SP保護用サーキットブレーカ
C61. 修理前 RCA端子
C62. 修理後 RCA端子交換。
C71. 修理前 SP接続端子
C72. 修理後 SP接続端子。
C81. 修理前 SW類
C82. 修理後 SW類。 赤マーク紙を貼り付ける。
C83. 修理中 取り外したSW、 ベーク板が弱っているので、このカシメを取ると割れる可能性大。
           ベークの固定爪は綺麗なので、前回の修理で外してはいない。
C84. 修理中 取り外したSW、 左側=清掃前、 右側=清掃後。
C91. 修理前 電源SW。
C92. 修理後 電源SW、 リレーを増設する。
CB1. 交換した部品
CB2. 交換した部品、 テスター点検、10μF測定。 このクラスの容量測定は、1kHz程度の交流で、
                通過電流を読む方式なので、下記の様に、容量が増しているのは、絶縁が悪くなっていると考えられる。
CB3. 交換した部品、 取り外した10μF測定。 左端=14μF〜右端=17μF。
CB4. 交換した部品、 取り外した25μF測定。 左端=40μF〜右端=27μF。
CC1. 修理前 電源コード。 
CC2. 修理後 製作電源コード。
CC3. 修理前 電源プラグ。
CC4. 修理後 電源プラグ。
CD1. 修理前 下から見る
CD2. 修理後 下から見る
CD3. 完成 綺麗なお尻で帰ります
CD4. 修理前 下から見る
CD5. 完成 下から見る
P. 上下パネル、前後パネル、ビスの塗装。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
P11. 修理(塗装)前 前パネル。
P12. 修理(塗装)後 前パネル。表示文字が薄くなっているので、これ以上進行させない為に、透明スプレーで押さえる。
P122. 修理(塗装)前 前パネル、 サイド押さえとパネルのキズ。
P123. 修理(塗装)後 前パネル、 サイド押さえとパネルのキズ。
P13. 修理(塗装)前 下蓋。
P14. 修理(塗装)後 下蓋。 錆あるので、これ以上進行させない為に、透明スプレーで押さえる。
P21. 修理(塗装)前 下蓋右側。
P22. 修理(塗装)後 下蓋右側。
           錆あるので、これ以上進行させない為に、透明スプレーで押さえる。 出来るだけ、艶を出さないように仕上げる。
P23. 修理(塗装)前 下蓋左側。
P24. 修理(塗装)後 下蓋左側。
           錆あるので、これ以上進行させない為に、透明スプレーで押さえる。 出来るだけ、艶を出さないように仕上げる。
P31. 修理(塗装)前 端子カバー。
P32. 修理(塗装)前 端子カバー。 出来るだけ、艶を出さないように仕上げる。
P33. 修理(塗装)前 上蓋。
P34. 修理(塗装)後 上蓋。 出来るだけ、艶を出さないように仕上げる。
P41. 修理(塗装・加工)前 裏パネル。
P42. 修理(加工)後 裏パネル。下の縦−SP接続端子穴はメクラにして、上の横SP接続端子穴に取り付ける。
P43. 修理(塗装・加工)御 裏パネル。 出来るだけ、艶を出さないように仕上げる。
P51. 修理(塗装)中 ビス類。軽く塗装する。
P61. 修理(乾燥)中 炎天下にさらし、焼き付ける。
E. 測定・調整。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E0. 出力・歪み率測定・調整。
    供給電圧はAC100V/50HZ。
    「見方」。
   上段中 右側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   上段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段中 左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   下段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E11. AUX_50Hz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.053%歪み。
                  CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.059%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E12. AUX_100Hz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.052%歪み。
                   CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.052%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E13. AUX_500Hz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.046%歪み。
                   CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.048%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E14. AUX_1kHz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.042%歪み。
                  CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.044%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E15. AUX_5kHz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.061%歪み。
                 CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.062%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E16. AUX_10kHz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.095%歪み。
                   CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.096%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E17. AUX_50kHz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.398%歪み。
                   CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.398%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E18. AUX_100kHz入力、CH1側SP出力電圧16V=32W出力、 0.61%歪み。
                    CH2側SP出力電圧16V=32W出力、 0.61%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
               半世紀近くも前の古AMPなのに、余り落ちない!
E21. MM_50Hz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.187%歪み。
                 CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.182%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E22. MM_100Hz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.134%歪み。
                  CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.132%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E23. MM_500Hz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.052%歪み。
                  CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.052%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E24. MM_1kHz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.0395%歪み。
                 CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.0409%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E25. MM_5kHz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.096%歪み。
                CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.118%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E26. MM_10kHz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.124%歪み。
                  CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.142%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E27. MM_50kHz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.41%歪み。
                  CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.41%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E28. MM_100kHz入力、CH1側SP出力電圧17V=36W出力、 0.45%歪み。
                   CH2側SP出力電圧17V=36W出力、 0.45%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
               半世紀近くも前の古AMPなのに、余り落ちない!
E3. フルパワーなので、24V高速フアンが全回転でクーリング。
S. JBL SA600 の仕様(カタログ・マニアルより)
型式 ステレオプリメインアンプ SA600
実効出力 40W+40W(8Ω)
周波数帯域 総合 ±0.75db 20Hz〜20kHz、 ±1.5db 10Hz〜130kHz
メインAMP ±0.25db 20Hz〜20kHz、 ±1.5db 3Hz〜200kHz
入力感度 Phono:4mV、8mV、16mV(切換式)/47kΩ、 最大入力250mV
AUX:250mV/35kΩ
S/N比 72dB
全高調波歪率 0.2%以下
トーンコントロール 高域:20kHz、±16dB
低域:20Hz、±18dB
ダンピングファクター 23(8Ω)
使用半導体 36Tr、19Di
最大電力 160W
外径寸法 幅412×高さ128×奥行350mm
重量 11.8kg
価格 417,900円 1965年発売
                                         sa600_2m
ここに掲載された写真は、修理依頼者の機器を撮影した者です、その肖像権・版権・著作権等は、放棄しておりません。写真・記事を無断で商用利用・転載等することを、禁じます。
 Copyright(C) 2024 Amp Repair Studio All right reserved.